極上コンテンポラリージャズ
ニコラ・フォルメルの「フルイド」(2006年、cristal records)。メンバーは、ニコラ・フォルメル(tp,p:1曲のみ)、ピエール・アラン・ガルシュ(p)、ジェロム・レガード(b)、トマス・グリモーンプレス(ds)、ステファン・ウシャール(ds:4曲)です。トランペットのワンホーン・カルテットです。ニコラ・フォルメルはフランスで活躍しているトランペッターで「パリ・ジャズ・ビッグ・バンド」の中心メンバーなんだそうです。このアルバムは彼の2作目です。私これもユニオンのアウトレット購入です。
このアルバムはミドル~スロー・テンポの曲で構成された極上コンテンポラリージャズというところです。ハード・バップではありませんよ。全曲ニコラ・フォルメルが作曲していますが良い曲ばかりです。トランペットの音色はファットでまろやかな中音と鋭く力強い高音が特徴です。音の飛翔もスムーズ、速いフレーズもきっちりこなすテクニシャンで、余裕を残して演奏している感じです。決して手抜きというわけではなく、自分のコントロールの下で演奏しようという誠実なものだと思います。ミュートを使ったバラード演奏なんかも淡々としていますが味わいがあります。変拍子の複雑なリズムを使った曲もありますがいたってスマートに演奏しています。
サイドメンでは、ピエール・アラン・ガルシュが非常にメロディアスかつセンスの良い演奏をしています。少しエレピも弾いていますね。ニコラ・フォルメルとの方向性はピッタリで、2人の相性はかなり良いと思います。ピエール・アラン・ガルシュと言えば寺島さん推薦の「セルジュ・ゲーンズブールの音楽を探求する」(ジャケットとライナーのタイトルが異なっている)ですのでここにジャケットを載せておきます。ピアノ・トリオ・ファンは必聴でしょう。
ステファン・ウシャールが4曲でドラムを叩いていますが、軽快でしなやかな8ビートがとても気持ち良いですね。こういうビートを叩かせるとこの人はうまいです。もう一人のドラマー、トマス・グリモーンプレスは8曲叩いていますが、ブラシを使っているほかスティックを使った場合はタイトなリズムになります。
このアルバムはニューヨーク系のアクや毒を好む方には物足りないでしょう。でもたまにはウイスキー片手にこういう極上コンテンポラリージャズを聴きながら寛ぐのも良いと思います。
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