« 2008年3月 | トップページ | 2008年5月 »

2008年4月

レコード屋巡りその2

祝!ブログ100更新。我ながら結構頑張ったなあ。これからも応援よろしくお願い致します。

レコード屋巡りは渋谷へと移ります。6件を3時間くらいで急いで巡りました。

まずは「Face Records」 http://www.facerecords.com/shop/default.php です。ここはホーム・ページがあったので事前に確認しておきました。新入荷のページを見ていたら何枚か気になるものがあり、中でもマイルス・デイビスの「ビッチェズ・ブリュー」オリジナル盤が目を引きました。

「ビッチェズ・ブリュー」はジャズを聴き始めてすぐに買いましたが、当時はそれ程お気に入りではありませんでした。数年前に久々に聴くとやっぱり良いということになって、吉祥寺のディスクユニオンでオリジナル盤を買いました。持っていた「ビッグ・ジャズ・フージョン23」シリーズの廉価盤と音を比較すると、オリジナル盤は中高域の厚みとキレが全然良いのです。ただ盤質はいまひとつでした。2枚組みの1枚目のプチノイズが多めなのでした。

盤質の良いものがほしいなあー。渋谷のレコード店「JARO」の通販リストに新品同様コンディションのものがあったのですが、価格が\10,000だったのでためらっていたら売れてしまいました。 今回「Face Records」で見つけたものは”クリーン・コンディション”マトリックスNo.1Aで価格は\5,040。安い!これは現物を見て良ければ買いでしょっ! 余談ですが、マトリックスNo.は1枚目A面:1A、B面:1D、2枚目A面:1A、B面:1Aなのです。1枚目のB面だけは演奏が気に入らなくて差し替えられたのか?スタンパー不良とかで作り直したのか?

ということで「Face Records」へ。お店のある場所は渋谷BEAMの少し先でこの辺りは人通りが少ないです。お店へ入ると「荷物を預かります。」と声が掛かりました。お店がそれ程広くないことやゆっくりレコードを見てもらおうという配慮のようですね。ジャズのレコードはDJを意識した品揃えで、輸入中古レコード専門店です。私はこういうお店ではスピリチュアル・ジャズやフージョンを探します。レコード棚には余裕を持ってレコードが置いてあるので見やすいですね。

P14 まずは新入荷の棚から「ビッチェズ・ブリュー」を確保し、新入荷棚とジャズ棚をひとおとりチェックしました。値段は輸入盤としてはリーズナブルだと思います。「ビッチェズ・ブリュー」なんかはジャズ専門店ならもっと高いはずです。他にリッキー・フォードやパティ・オースチンなどをチェックしつつ、「ビッチェズ・ブリュー」の盤を見せてもらうことにしました。

盤はかなりきれいなのでビックリです。でも油断できません。というのも目に見えないゴミでプチノイズが頻発するものがたまにあるからです。試聴をお願いすると快く聴かせてくれました。ノイズがない!!まさに”クリーン・コンディション”で偽りなしです。買いですね!更に”せこく”「レコードマップ」を見せて¥100引きしてもらいました。良い買い物ができました。今日は他のお店も回るので買ったのはこれだけです。このお店はホーム・ページをチェックして気に入ったものがあればまた買いに来ることにします。

次は「サム’ズ渋谷店」です。渋谷BEAM裏の角の反対側の地下1階にあります。ここは結構広くてシックなインテリアのお店でした。ブラックミュージック専門店です。メインはCDなんですが私はジャズのレコードしかチェックしませんでした。ジャズのレコードは棚4区画分で日本盤中心です。値段も適正でしょう。このくらいの量でも買いたいものは見つかります。このお店もたまに覗いてみることにしましょう。

クルセイダーズの「音楽会」(1981年rec. 日本ビクター)とシーラ・ジョーダンの「ザ・クロッシング」(1984年rec. アルファ・レコード)の2枚を買い\2,200です。 「音楽会」はNHKホールでのライブ・レコーディングで、当時の日本ファンを意識してかジョー・サンプルのソロアルバムから、「虹の楽園」「ザ・ハンター」「イン・オール・マイ・ワイルデスト・ドリームス」「カーメル」をやっています。 「ザ・クロッシング」はケニー・バロンのピアノ・トリオをバックにシーラがスインギーに歌う好アルバムです。ゲストのトム・ハレルのフリューゲル・ホーンも良いし、ハービー・シュワルツのベースとのスキャットでのデュオなどは見事です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

レコード屋巡りその1

レコード屋巡りレポートその1です。

ジャズ喫茶「ジニアス」で聴いて買おうと決めたレコード、ビリー・テイラーの「ジャズ・アライブ」とカレル・ボエリの「スイッチ」。この話は以前ブログに書きました。どこかで売っていないかとホーム・ページのリストを検索することに、この手のレコードなら川崎の中古レコード/CDのお店「TOPS」にあるだろうと言うことで検索すると、「ジャズ・アライブ」がありました。さらにリストを検索していると、前から探していたルネ・トーマの「TPL(Thomas Pelzer Limited)」(「いーぐる」後藤さん推薦盤)もあるではありませんか!こんなレア盤が見つかるのが「TOPS」なのです。

P11 早速入手すべく「TOPS」 http://www12.plala.or.jp/RECORDSTOPS/ へ行きました。ビリー・テイラーの「ジャズ・アライブ」(1977年rec. MONMOUTH EVERGREEN)は人別の区分けがあるのですぐに見つかりました。このアルバムは高くありません。ジャケット写真やデザインはご覧のとおりの「トホホ」な感じです。メンバーは、ビリー・テイラー(p)、ビクター・ガスキン(b)、フレディ・ウェイッツ(ds)です。

A面はビリー・テイラー作「ジャズピアノとオーケストラのための首相組曲」を演奏、B面は「エリントンの影響」というサブタイトル付きでエリントンの曲を演奏しています。「ジニアス」で聴いたのはA面のほうで、なかなかドラマチックな美曲をダイナミックに演奏しているのです。特に左手のコードが力強く録音されていて、テイラーは手数も多いのでかなりコッテリ感があります。B面もダイナミックな演奏が続きます。でもA面のほうが良いです。

次はルネ・トーマの「TPL」があるはずなのですが・・・。ギターの棚を探したのですがありません。ヨーロッパ盤の棚を探したのですがここにもありがせん。しょうがないので店主に聞いてみたら一緒に探してくれました。親切なのです。やっぱりありません。店主によれば「TPL」は売れてしまいリストを消し忘れたのかもしれないとのことなので潔く諦めました。「これじゃないよね。」と言って「ミーティング・ミスター・トーマ」を棚から抜いてくれたりもしました。

P12 一応「ミーティング・ミスター・トーマ」(1963年rec.1976年re-mix BLUE STAR)も裏ジャケのメンバーを見たら、「TPL」で注目アルトのジャッキー・ペルゼーが入っていました。これ買おうかな~悩みました。他のレコードも見ながら1時間ほどお店をウロウロ。新入荷の棚などを物色しました。前にブログで紹介したエンリコ・ラヴァの「AH」\3,500が新入荷の棚にありましたよ。 さて「ミーティング・ミスター・トーマ」ですが試聴させてもらいました。オルガンが入っていて軽快でスインギー、ペルゼーのアルトもグットです。コンディションも良好です。レコードとの出会いは一期一会、これは買いでしょっ!値段もそんなに高いわけではありません。

メンバーは、ルネ・トーマ(g)、ジャッキー・ペルゼー(as,fl)、ルー・ベネット(org)、ギルバート・ロベール(b)、チャールズ・ベローンジ(ds)です。ジミー・ヒースのオルガン・カルテットのようなサウンドですがコテコテ感はなく、やっぱりヨーロッパという感じでスッキリ洗練されているのでした。トーマのギターは暖かくブルージーです。ペルゼーはアルトだけでなくフルートも上手いです。キレが良くなかなか情熱的なアルトは気持ち良いです。でも6曲中3曲しか参加していないのが残念。

P13 もう1枚買ったのはモンティ・アレキサンダーの「ジャメント」(1978年rec. PABLO/ポリドール)です。メンバーはモンティ・アレキサンダー(p)、アーネスト・ラングリン(g)、アンディ・シンプキンス(b)、ラリー・マクドナルド(per)、ロジャー・ベツェルミー/ダフィ・ジャクソン(ds)、ヴィンス・チャールズ(steel-ds)です。これは後藤さん著「ジャズ・レーベル完全入門」で紹介されていました。アレキサンダーの明るくスインギーなピアノを満喫できる楽しいアルバムです。

以上3枚を買ったのですが今回も端数を値引きしてもらえました。たまにしか買いに行かないのにありがとうございます! お金を払った時に、店主が「何枚くらい集めたの?」と聞いてきたことから始まって、レコードやCDの収納が大変だとか、このお店を始めた理由とか、中国人が最近海外オークションで高値で買うとか、サウジアラビアの人が「ビートルズ」の日本オリジナル盤をいくらでも出すと新宿のレコード屋に注文したとか、オークションの話とか、下北沢の「サボテン・レコード」の話とかを30分くらいしてしまいました。楽しかったです。

この後の渋谷のレコード屋巡りはまた明日報告します。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

レコード屋巡りに行ってきました。

今日は久々にレコード屋巡りに行ってきました。

川崎のレコード屋「TOPS」で前に話したビリー・テイラーの「ジャズ・アライブ」を買ってから、「レコードマップ」片手に今まで行ったことのない渋谷のレコード屋を6件巡ってきました。最後に高田馬場のジャズ喫茶「マイルストーン」でコーヒーを飲んで帰ってきました。

収穫については追って報告します。今日はココまでです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

かわいい「ねこジャケ」!

ジャケットがかわいいこの1枚。う~んエロ・ジャケとは大違いだぞ!

P9 エンリコ・ラヴァの「ベラ」(1990年rec. Pillology)を紹介します。これ、見てのとおりカワイイねこのジャケット。ちょっと太めなのが○、ちょっと首を傾け上を見上げたポーズが◎なのです。ねこ好きの方なら絶対ほしくなるでしょう。メンバーは、エンリコ・ラヴァ(tp)、エンリコ・ピエラヌンツィ(p)、エンツォ・ピエトロパオリ(b)、ロベルト・ガット(ds)です。このメンバー凄い!イタリアの名手勢ぞろいです。内容は説明不要の名盤と言って良いでしょう。Amazonで検索しても見つかりませんがこれ廃盤なのでしょうか?

1曲目はラヴァ作のタイトル曲「ベラ」、哀愁の美メロ曲です。ラバが切々とだけど甘過ぎずに歌い上げます。ピエラヌンツィのピアノがまたス素晴らしい! 美しいコード・メロディーが連発です。間違いなくこの1曲だけでも買いです。 2曲目の「マイ・ファニー・バレンタイン」も良いです。最初フリーでトランペット、ピアノ、ベース、ドラムがフレーズを交換し、途中からインテンポになり曲のメロディーが現れる辺りはゾクゾクものです。その後演奏はミディアム・テンポで快調に進むのですが、4人の息はピッタリ。これぞイタリアン・ハード・バップの鑑という演奏です。

3曲目はピエラヌンツィの曲「ソー・ニア」。まさにピエラヌンツィと言うべき佳曲ですね。とまあ良い曲と演奏が続くわけです。5曲目は「マイ・ファニー・バレンタイン」の別バージョンです。こっちはいきなりピエラヌンツィ・トリオのアドリブから始まり、途中からトランペットが入り曲のメロディーが現れます。この入りもなかなか良いではあませんか。ラストは4人によるフリー・インンプロビゼーションです。これがまた美しくてカッコイイ。というわけで決して「ベラ」1曲だけじゃなくこのアルバムは全部良いのでした。これ必調でしょっ!

P10 次は多分「ベラ」の初演。エンリコ・ラヴァの「アニマルズ」(1987年rec. GALA RECORDS)です。メンバーは、エンリコ・ラヴァ(tp)、アウグスト・マンツィネリ(el-g,,synth-g)、フリオ・ディ・キャストリ(b)、マウロ・ベッジォ(ds)です。このジャケットもなかなか面白いと思いませんか?昔あった下北沢の「イエローキャブ」というお店で買いました。Amazonで購入できますが高いですね。

A面1曲目のタイトル曲「アニマルズ」は復帰後のマイルスのような曲で、マンツィネリのカッティング・ギターがカッコイイです。ラヴァの吹くフレーズでマイルスとクリソツなのが出て来るところがあります。やっぱマイルスを聴いていたんじゃないでしょうか? 短い曲をはさんで3曲目が「ベラ」です。ラヴァの吹く哀愁のメロディーとマンツィネリのフリゼール風浮遊系ギターが良いマッチングを見せる演奏になっています。

4曲目は4ビートにのってトランペット・トリオで始まります。このトリオ演奏がなかなかいい味を出しています。途中からギターが入るのですが、今度はジョンスコ風ですね。5曲目はマンツィネリの曲なのですが、もろにフリゼール風スロー曲です。フリゼール・トリオにラヴァのトランペットが客演している感じです。B面の説明は割愛します。

ギタリストのマンツィネリはいろいろなギタリストかの影響が見られますがしょうがないことでしょう。このアルバムはギターが入ることによってピアノ入りワンホーン・カルテットにはない新鮮味が加わっています。

今日はこんなところでおしまい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

高田馬場の老舗中古店「タイム」

高田馬場のジャズ喫茶「マイルストーン」へ行く時などに老舗中古店「タイム」へ行くことがあります。ここは中古レコードと中古CDのお店です。毎年発行される「レコードマップ」で知りました。「レコードマップ」を見て行ったことのないレコード店へ行くのは楽しいですよね。

「タイム」はジャズ・オリジナル盤専門とかではなく普通のオールジャンルのお店ですが、ジャズには力を入れています。ディスクユニオンにないようなレコードが見つかる場合があるので、時々覗いています。価格は安めでコンディションのチェックもしっかりしているところが良いです。

P5 ここで買ったレコードを2枚紹介します。まずはスーパーサックスの「スーパーサックス・プレイズ・バード・ウィズ・ストリングス」(1974年rec. Capitol)です。メンバーは、スーパーサックス:メッド・フローリー(as)、ジョー・ロペス(as)、ウォーン・マーシュ(ts)、ジェイ・ミグリオリ(ts)、ジャック・ニミッツ(bs)、ジェイク・ハナ(ds)、バディ・クラーク(b)、ルー・レビ(p)、コンテ・カンドリ(tp)、フランク・ロソニーノ(tb)+ストリングスです。これは後藤さん著「ジャズ選曲指南」に載っていたものでCD化されておらず、レコードもなかなか見つからず探していたものです。これは人気がないのでオリジナル盤でも¥1,000以下でした。

スーパーサックスは、メッド・フローリーが譜面化したチャーリー・パーカーのアドリブをサックス中心のアンサンブルにして演奏するグループです。パーカーのアドリブはメロディーにおいてもすぐれているので、これをサックス・アンサンブルでやるととても気持ち良く聴こえます。パーカーはアドリブ一発の凄味みが最大のおもしろさなのですが、譜面化して演奏してもパーカーのアドリブ・フレーズは良いのですから凄いですよね。

サックス・アンサンブルだけでなく、カンドリのトランペット・ソロ、ロソニーノのトロンボーン・ソロ、レビのピアノ・ソロも楽しめます。さらにバックにストリングスが加わる曲もありかなりゴージャスなアルバムになっています。洗練されたゴージャス、ウエスト・コースト・ジャズが好きな方にはこのアルバムの良さがわかってもらえると思います。パーカー嫌いとかいう理由で聴かないのはもったないですよ。

P6 次はミルト・ジャクソンの「ソウル・フュージョン」(1977年rec. PABLO)です。メンバーは、ミルト・ジャクソン(vib)、モンティ・アレキサンダー(p)、ジョン・クレイトン(b)、ジェフ・ハミルトン(ds)です。これは後藤さん著「ジャズ・オブ・パラダイス」に載っていて探していたものです。日本盤の中古でこれも安かったです。Amazonで検索したらOJC盤のCDがありますね。川崎の中古レコード・CD店「TOPS」の在庫リスト http://www12.plala.or.jp/RECORDSTOPS/stock-m.html にもPABLO盤がありました。

これはミルトのブルージーなバイブラフォンとアレキサンダーのノリの良いピアノを聴くアルバムですね。A面1曲目からノリノリな曲で始まります。オスカー・ピーターソンの「リユニオン・ブルース」もミルトとのカルテットですが、あれと同じ感じのアルバムです。 A面2曲目は最初スロー・テンポで途中からミディアム・テンポになる曲でブルージーなバイブ・ソロが満喫できます。アレキサンダーのピアノはノリノリなのですが、弾きすぎるようなところがないのが良いです。

A面3曲目は「イズント・シー・ラブリー」、前にこの曲が入っているアルバムを3枚紹介しましたが、ここにも入っているのを忘れていました。ミルトとアレキサンダーですから、抜群のドライブ感でスインギーに演奏しています。意外とコテコテにならずスッキリしているあたり、この2人の趣味の良さが出ているようでマッチングも良いですね。 A面ラストは8ビートの曲(途中4ビート部分もあり)でこれまた気持ちよくスイングしています。ここではハミルトンのリズミカルなドラミングが良く、ドラム・ソロもフィーチャーされています。

レコード店巡りでこの手のマイナー盤を探したり見つけたりするのは本当に楽しいです。ゴールデン・ウィークにはレコード店巡りをするつもりです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ジャズ喫茶「マイルストーン」

よく行く東京のジャズ喫茶として「いーぐる」「ジニアス」「マサコ」の他にもう一軒、高田馬場の「マイルストーン」http://jazz-milestone.net/があります。

最初に行った時は普通の「ジャズ喫茶」でした。確か3回目に行った時に今のように古本も売る店になったと思います。コーヒーを飲みながらお店に置いてある古本を読んで、気に入ったものがあれば買うことができるという方式です。日本で唯一の「古本ジャズ喫茶」ということです。ジャズ本もかなりあります。私が買った本はジャズ批評社の「決定版ブルーノート・ブック」くらいです。

本の他にレコードも売っています。200枚くらいだと思いますがなかなかマニアックなラインナップなのです。このお店では新宿22:00時発の「かいじ」に乗るまでの1時間くらいを過ごすことが多く、既にその日のレコード・CDは充分買っているのに、置いてあるレコードを見ているとついつい買いたくなってしまいます。私はこれまでに10枚くらいは買ったと思います。レコードの価格は妥当もしくは安めに設定してあります。

P3 買ったレコードの中から2枚ほど紹介します。まずはチャールス・ロイドの「フォレスト・フラワー」(1966年rec. ATLANTIC)です。メンバーは、チャールス・ロイド(ts,fl)、キース・ジャレット(p)、セシル・マクビー(b)、ジャック・ディジョネット(ds)です。CDを持っていたのですがコンディションの良いオリジナル盤が安く売られていたので買いました。買って帰る時にお店のマスターが「これは私も好きなレコードなんですよ。」と言っていました。

内容は説明不要だと思います。モントルー・ジャズ祭でのライブ録音ですね。ロイドもさることながら当時新進気鋭のキース、マクビー、ディジョネットのフレッシュなプレイが光ります。A面の「フォレスト・フラワー-サンセット」が聴きもので、会場が飛行場の近くだったということで曲の途中にプロペラ飛行機(セスナ?)の音が入っているのは有名ですよね。「フォレスト・フラワー-サンセット」、田舎の飛行場を思わせる長閑でさわやかな曲は大好きです。ちなみにB面も良いのでお忘れなく。「イースト・オブ・ザ・サン」なんかはキースのアグレッシブなプレイやマクビーのソロが聴けます。

P4 もう1枚はロレツ・アレキサンドリアの「フォー・スインガーズ・オンリー」(1963年rec. ARGO)です。メンバーは、ロレツ・アレキサンドリア(vo)、ロナルド・ウィルソン(fl,ts)、ジョージ・エスクリッジ(g)、ジョン・ヤング(p)、ジミー・ギャリソン(b)、フィル・トーマス(ds)です。ここで売っているレコードの値札には極短い推薦文が書いてあるものがあり、それを見て買ったものです。日本盤です。

ロレツ・アレキサンドリアは知る人ぞ知る実力派シンガーなのです。ロレツのジャジーでスインギー、かつ力強い歌は良いですよ。さらにここではバックのギャリソンのベースとウィルソンのフルートが良いのです。特にギャリソンの力強いベースが全編に亘って大活躍し、演奏をグイグイドライブさせていくのがなんとも気持ち良いです。私はあまりヴォーカルは聴かないのですが、このアルバムは大好きです。

他にこのお店で買ったレコードは、前にブログで紹介したオスカー・ピーターソンの「プリーズ・リクエスト」のオリジナル盤やジョー・ザビヌルの「マネー・イン・ザ・ポケット」のオリジナル盤、クリス・ウッズの「モダス・オペランディ」などです。ザビヌルの盤にはビル・エバンスが後年よくやていた「ミッドナイト・ムード」(ザビヌル作)という私の好きなワルツ曲が入っています。

マイルストーンで売っているレコードには、まだいくつか目を付けているものがあるので、次に行った時にまだ売っているようなら買おうかと思っています。まあレコードを買うのはオマケですから、目を付けているものを一度に全部買おうとは思っていません。皆さんがもしマイルストーンへ行くことがあれば是非売っているレコードを見て下さい。

そうそう売っているレコードは試聴させてもらえますので、聴いてから買っても良いと思います。なお試聴と言ってもチョイ聴きではなく片面全部聴くのがマナーだと思いますのでご承知おき下さい。

このお店のオーディオの音は私にはちょっと古い音に感じます。新しいCDを聴くとちょっとノスタルジックな感じが目立つように思います。それ故50,60年代のレコードは説得力のある音になりますね。あとマスターの選曲は、よく知っている名盤がかかったかと思えば、全くマイナーなものがかかったり、最新のCDがかかったりとバラエティーに富んでいて、ダイナミック・レンジも広くておもしろいです。ここも居心地の良いジャズ喫茶です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

クォン・ヴーの新譜

最近注目のトランペッター、クォン・ヴーの新譜はやはり良いのでした。これはジャズ喫茶「いーぐる」の新譜特集(2/9)で聴いたものです。その時は日本未発売でした。最近ディスクユニオンから販売さたので早速買いました。

P1_2 新譜のタイトルは「Vu-Tet」(2007年rec. artistShare)です。メンバーは、クォン・ヴー(tp,effect)、クリス・スピード(reed)、ツトム・タケイシ(el-b)、テッド・プアー(ds)です。前のアルバム「残像」 のメンバーからビル・フリゼール(g)が抜けて、代わりにクリス・スピードが入りました。クリス・スピードとはヴー、スクリ・スヴェリソン(el-b)、ジム・ブラック(ds)からなるグルプ「Yeah No」(このグループも要注目)で共演しています。

相変わらずヴーの音の肌触り(触覚)を意識した演奏が展開されます。1曲目は映画音楽のような風景を想像させる曲で幻想的な夢見心地の気分になります。もはやトランペット演奏を大きく超えています。前のアルバムでは背景にアンビエントなフリゼールのギターがあったのですが、今回はないのでタケイシのファンク・ベースがアンビエントな部分を補っていて、サウンドはファンキーな感じが強くなっています。私はこのファンク・ベース好きですね。ドラムもより前面に出て積極的にサウンドに寄与するようになったところも良いと思います。

今回はフリゼールがいないので、トランペットやサックスのソロ部分はトリオ演奏となっていて、サウンドはよりタイトな感じになりました。バップ的な要素が強くなったとも言えるので賛否はわかれるかもしれませんが、私はこれも良いと思います。クリスのサックスはヴーのトランペットと音の感触が近いためテーマの演奏では一体化して聴こえます。クリスのサックスなどのソロもカッコイイですよ。プアーのドラムはバスドラムの音がゆるく広がる音で、ジャズというよりロックの音に近い感じがおもしろいですね。シンプルで良いドラムを叩いていると思います。

やっぱヴーはイイ! こうなると「Yeah No」も聴きたくなりました。ジム・ブラックのドラムは特にイイですからね。

P2 前アルバム「残像(邦題)=イッツ・モストリー・レシデュアル」は最初は日本盤を買いました。だいぶたってから輸入盤の「イッツ・モストリー・レシデュアル」(写真のとおりジャケットが全く異なる)が販売されたのですが、ディスクユニオンの紹介文では内容が同じだと書いていませんでした。私はてっきり同メンバーによる新譜だと思いアウトレットCDをうっかり買ってしまいました。帰って1曲目を聴いて唖然ですよ。慌てて収録曲を調べたら「残像」と全く同じです・・・。2枚持っていてもしょうがないので、高く売れそうな日本盤「残像」をディスクユニオンの買取に出しました。輸入盤のほうが希少だろうしね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

300B真空管アンプ

かつては憧れの、今は簡単に手に入る真空管300Bのシングルアンプを改造しました。

今使っているシャシーはいろいろな真空管や出力トランス(OPT)を使って何度か組替えています。その変遷は、真空管:12E1+OPT:パートリッジTK7711、真空管:PX25+OPT:タンゴUー808、真空管:300B+OPT:タンゴU-808、真空管:300B+OPT:タンゴXE-20Sです。 電圧増幅回路は、12E1の時が6SL7のSRPP1段、PX25の時がECC33の2段(浅野アンプR120シングルの回路)でした。

PX25は10年くらい前に秋葉原のキョードーでバラ売り特価:@¥35,000だったので買ったものです。メーカーはオスラムとザエリックスでした。出力は6Wくらいしか出ませんでしたがその重厚(雄渾)な音には惚れ惚れするものがありました。それが4年くらい前に1本異常放電するようになってしまい、アンプはしばらくそのままになっていました。

300Bのアンプは4台くらい作りました。最初はゴールデンドラゴン(GD)の4300Bを秋葉原の三栄無線(私と真空管アンプとの出会いの店、今は閉店して通販のみ)で買って作りました。 その後ウエスタンエレクトリック(WE)の300Bが再生産され、秋葉原ラジオデパート3階奥のお店で木箱に入っていないものがペアで¥75,000と安く売っていたので、買って少し気合を入れたアンプを作りました。

P199_3 OPTはタンゴのXE-60-3SNFで、回路は松並さんの6AH4パワードライブ式グリッド・チョーク自己バイアスでした。元々はNFB無だったのですが、音が気に入らずNFBをかけると低域発振が起き、カップリング・コンデンサの値を変えても不安定で-6dBくらいしかかからないので、結局前段B電源にチョークを移してRC結合にしてしまいました。

P204 その後雑誌の評価が高かったKRのVV300Bを秋葉原のクラシックコンポーネンツで買って、OPTがタンゴFW-20Sの固定バイアスアンプを作ったのですが、こちらはヒーターを直流点火してもハム雑音がなくならず、GD4300BやWE300Bに挿し替えるとハムがないことから、VV300B固有の問題だろうと言う事でしばらく使って諦めました。音そのものは球のしっかりした構造と厚いガラスによるものと思われる重厚なもので良かっただけに残念です。

P200 このアンプは12E1三極管結合自己バイアスアンプに改造しました。12E1の3結は出力が8Wくらい出てパワー感と繊細感がバランスした良い音でした。12E1という球は傍熱ビーム4極管であまり人気がなく安いので、コスト・パフォーマンスが高いアンプが作れます。直熱3極管にこだわらなければオススメの球です。

P201 更にfullmusicの300B(2.5V)も買いました。こちらはプレートに孔が開いている擬似メッシュプレートだったので、ヒーターが透けて見えてきれいでした。これが見たくて買ったのです。音は響きの良いすっきりしたものでした。これはWE300B用アンプのヒーター電圧をスイッチで切り替えられるようにして挿し替えて楽しんでいました。

3年前にアンプが増えすぎたので整理しようということで、上記のWE300B用アンプと12E1アンプはばらして、トランス類と真空管(GD:4300B,KR:VV300B,fullmusic:300B,12E1)はオークションで売ってしまいました。我ながらよくもまあいろいろやったものです。

真空管WE300Bは残したのでこれ用のアンプとして、PX25アンプを改造することにしました。改造といっても電圧増幅回路はそのままで300B用に自己バイアスの回路定数を変えただけです。300BはPX25に比べドライブ電圧がかなり高いので不安がありましたがギリギリO.K.でした。でもギリギリというのが気になっていました。

やっと本題、このアンプの改造の話です。このアンプは電圧増幅管の実装スペースがGT管1本分しかないので、どうやってドライブ電圧が高いアンプを作ろうかと思っていました。6SL7のSRPPというのもあるのですが、前にやった時にはパワー感が出にくかったので気に入りませんでした。

300Bアンプが紹介されている雑誌はたくさん持っているのですがどれもピンときませんでした。今までチェックしていなかった「管球王国」(私は「真空管アンプ大研究」から全号所持)を最近調べたら、21号の記事「マイ・ハンディクラフト」の上杉さん設計アンプ「TAP18」が12AU7、1本で電圧増幅を行っているではありませんか。ということでこの回路に決定しました。

P202 ついでに12AU7じゃあつまらないので同じような特性のヘビーデューティ管5692(以前別のアンプで使用して保管していた、今は値段が高騰)を使用することにしました。増幅部に使う抵抗やコンデンサは手持ちがありましたが、B電源のデカップリング抵抗がちょうど良い値のものが無かったので、ブログに書いたようにわざわざ秋葉原まで買いに行ったというわけです。

P203 最初、電圧増幅部のデカップリング用ブロックコンデンサの耐圧が足りないのに気付かず、危うくそのまま使ってしまうところでした。交換はめんどうでしたが高耐圧のものに交換しました。ヒーターはトランジスタのリップルフィルタ(武末アンプ方式)による直流点火でハムバランサーは入れていません。固定抵抗による中点にバイアス抵抗(DEALの巻線抵抗)を接続しています。NFBは-9.2dBかけています。

このアンプのタムラ電源トランスは最初OPT:TK7711に合わせてブルー・ハンマートーンに塗装していたのですが、OPTをU-808に変えたときにグレー・ハンマートーンに塗り替えました。ただ塗装が厚くなったからなのか縮み塗装のような感じに仕上がってしまいかえって気に入っています。電圧増幅部のB電圧にもチョークが入っていますが、これは白色だったものを艶消し黒色に塗装しています。

出来上がったアンプの音はECC33の時よりパワー感が増した厚い音で気に入りました。アンプの電気特性確認は、日本オーディオの測定器UA-1Sと韓国製の安いオシロスコープを使って行っています。前はf特や歪みを測定してグラフ化していたのですが、今は正弦波と矩形波を入力して出力の波形を見ればだいたいわかりますので、それで済ましています。

ドライブ電圧が上がれば出力も増加すると思ったのですがそうでもなく最大出力は7.5W(クリップ無)でした。多分電源トランスの電流容量が足りないのでしょう。まあこれでよしとします。リップルフィルタ入り直流点火なのでハム雑音はかなり小さいです。ろくに測定もせずにアンプを自作する方がいるようですが、最低限の電気特性は確認すべきだと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

フランク・カタラーノ

昔どこかでジャズ喫茶「メグ」店主の寺島さんが、フランク・カタラーノは不良っぽくていいみたいなことを書いていて、当時出たCDを買いました。今回アウトレットでフランク・カタラーノのCDを見つけてメンバーが気になって買ったのでここで紹介します。

P197 紹介するのは「ライブ・アット・ザ・グリーン・ミル ウィズ・ランディ・ブレッカー」(2001年、delmark)です。メンバーは、フランク・カタラーノ(ts)、ランディ・ブレッカー(tp)、ラリー・ノバック(p)、エリック・ホッドバーグ(b)、ポール・ワーティコ(ds)です。アウトレットなのでだいぶ前のCDですね。気になったメンバーというのはランディ・ブレッカーとポール・ワーティコです。

特にポール・ワーティコはパット・メセニー・グループ以外でドラムを叩いているのは初めて聴きます。この頃ってメセニー・グループから抜けた頃なのかな?ランディ・ブレッカーは前に買ってあったCDにも入っていたので、当時のフランク・カタラーノの後見人みたいな感じだったのかもしれません。

全5曲10~15分の曲で熱いライブ演奏です。あらためて聴くとカタラーノのテナーはボブ・バーグに似ていることがわかりました。フレージングとか押さえきれない感情の噴出感が似ていますね。ただボブ・バーグよりファンキー臭が漂っているかな?シカゴ出身というところからそうなるのでしょうか?ややかすれた音色もプレー・スタイルに合っています。寺島さんが不良っぽいというのがよくわかります。

ここではランディもカタラーノに負けじと熱いプレーで応酬しています。これもポイント高いです。全編4ビートでワーティコのアグレッシブなドラミングが聴けます。ドラムソロなんか相当リキが入っています。ピアノ、ベースも悪くなく、熱いライブですが決して雑な感じは受けません。熱気に満ちた良いライブですよ。

P198_2 前に買ったアルバムも紹介しておきます。「ピンズ・アンド・ニードルズ」(1999年、Cicago Lakeside Jazz)です。メンバーは、フランク・カタラーノ(ts)、ランディ・ブレッカー(tp.flh)、ウィリー・ピケンズ(p)、ラリー・グレイ(b)、ジョエル・スペンサー(ds)です。こちらはスタジオ録音です。

ピアノのウィリー・ピケンズは寺島さん著「JAZZはこの1曲から聴け!」でピアノ・トリオ・アルバムが紹介されています。ピケンズもシカゴ出身らしいので同郷の若手サックス奏者の盛り立て役として参加しているのかも?

スタジオ録音とはいえこちらも1曲目から全開で飛ばしています。カタラーノのソロはフリーキーっぽい音も交えなから熱く吹ききるところが良いです。不良テナー!一方ランディのフリューゲルホーン・ソロはまろやかで厚い音で大人の熱さですね。ピケンズのピアノ・ソロはドライブ感満点のスインギーなもので盛り上げていきます。

続く2曲目はピアノとのデュオでスロー・バラード、堂々としておおらかな歌いっぷりはなかなかのものです。ピアノの伴奏もとってもグッドです。5曲目はピアノレスのカルテット演奏で、サックス・トリオの部分は強力ですよ。実力がないとなかなかここまで吹ききれません。後半のランディとの掛け合いなんか一歩も引けを取りませんね。カッコイイ演奏です。カタラーノ、いいテナー吹きますよ。これはカタラーノの快演が味わえる良いアルバムだと思います。

カタラーノは最近、ジェニファー・ロペス、ディスティニーズ・チャイルド、ジョン・レジェンドなどのポップ系の作品に参加し、ソウル、クラブ・シーンでも知られるファンキー・テナーらしいです。こんな感じなので純ハードバップ偏重の日本では話題に上らないのでしょうね。

一方で「オレはフージョンは嫌いだ」とか言いながら、ピアノ・トリオなんかは20年前ならフージョンと言われるだろうものをジャスだと言って平気で聴いているんだから・・・。何なのでしょう? ちなみに私は前にも書いたけれどフージョンが好きだから、その手のピアノ・トリオはフージョンとして楽しんでいます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ジャズ喫茶「ジニアス」にも行きました。

土曜日はジャズ喫茶「いーぐる」の特集のあとにジャズ喫茶「ジニアス」へも行ってきました。今回は夕食を食べたりビールを飲んだりしながら2時間強聴いてきました。

お店に入るとお客さんが3人いて、いつも座るスピーカー前の席が空いていなかったので窓際に座りました。かかっていたのはスパイク・ロビンソンのワンホーン・カルテットで、ピアノでなくキーボードが入っているCDでした。結構良い感じでした。

さてCDが終わってかけてくれたレコードは、ナット・アダレイ(tp)とビンセント・ハーリング(as)のクインテットで「ウィー・リメンバー・~」。キャノンボール・アダレイの代わりにハーリングのアルトが入ったクインテットの企画モノなんでしょう。まあまあかな。 ここで先にいたお客さんが帰ってしまったので、いつものスピーカー前の席に移動させてもらいました。

次はカレル・ボエリの「スイッチ」(TIMELESS)。カレル・ボエリは、ヨーロピアン・ジャズ・トリオの前のピアニストです。現ピアニストはご存知マーク・ヴァン・ローンですね。このアルバムはチャールス・ロイドの「フォレスト・フラワー」やジョー・ヘンダーソンの「リコーダ・ミー」とかをやっているのですが、この2曲をピアノ・トリオでやるのは珍しいと思います。内容はかなり良かったです。

マスターに「フォレスト・フラワーが良いですね。」と言ったら、マスターは「反対の面に叙情的なスイッチが入っているんだけど、あなたの顔を見たらフォレスト・フラワーが浮かんだんですよ。」と言われました。ウーン、好みを読まれているぞ! 当時のTIMELESSレーベルは良いものがたくさんありますね。CD化されていないみたいなので中古レコードを探すしかないです。ヨーロッパ・ピアノ・トリオの廃盤レコードは値段が高騰しているからなあ・・・。

次は「フォレスト・フラワー」つながりなのだと思いますが、聞いた事のない多分ドイツ人(名前がどう発音するのか?)クインテットの「ジョイ・スプリング」。「フォレスト・フラワー」をはじめなかなか気の利いた選曲のアルバムで、トランペッターがなかなか良かったです。この辺りからお客さんが次々入って来ました。

そしてビリー・テイラーの「ジャズ・アライブ」(1977年)。多分前にビリー・テイラーの「ウォーミング・アップ」をリクエストしたのを思い出してくれたのでしょう。ピアノ・トリオなのですが、テイラーのピアノ・ソロ部分がかなりあって、テイラーのテクニック溢れるダイナミックなピアノが楽しめます。こんなにガンガン弾く人だとは知りませんでした。他のお客さんがマスターに「ソロ・ピアノのところなんかしつこいね。」とか言っていましたが、私はそこが気に入りました。これは入手せねば! でもこれもCD化されていないようです。CD化してほしいけど多分されないだろうな・・・。

次はテッド・カーソンの「ファイア・ダウン・ビロウ」。前のビリー・テイラー盤の印象が強くて、これは印象があまり残っていないのです。悪くはないです。これは安めのオリジナル盤でも買おうかと思っていたのですが、ちょっと保留しようかな?

P196 最後に聴いたのはケニー・ドーハムの「ジャズ・プロフェッツ・VOL.1」のオリジナル盤。オリジナル盤は音が良いです。 私は日本盤レコードを持っています。ただ入手するのにいろいろありました。これは後藤さん著「ジャズ・オブ・パラダイス」に載っていたので日本盤中古レコード(オリジナル盤は高価すぎ)を探していました。でもコンディション「A」がなかなかなくてやっと見つけて買ったら、とれない小さな汚れがいくつかあってノイズが気になりました。ディスクユニオンで買うと稀にこういうことがあります。

しばらくしてまたコンディション「A」が見つかたので悩んだ末に買いなおしました。ところがこれまた盤に汚れがあってノイズが気になるのです。稀なはずなのに・・・。内容が気に入っているだけにつらい! そして再びコンディション「A」盤が・・・、もうヤケだ!今度こそと思い盤をしっかり確認して買うことにしました。O.K.でした。やっと!それが今持っている日本盤です。よっ!三代目。この3枚の日本盤。面白いことに全て異なるモノでした。2枚は土曜日にディスクユニオンに買い取られていきました。買取価格はまあまあだったのでよしとしましょう。人生いろいろ!

今回の「ジニアス」での収穫はピアノ・トリオ盤2枚でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

モブレイ特集他

昨日行ったジャズ喫茶「いーぐる」の「ハンク・モブレイ特集」はハードバップをたっぷり堪能してきました。

ハンク・モブレイ特集」は阿部さんが担当されたのですが、私は阿部さんの特集には今回始めて参加しました。「いーぐる」連続特集はいろいろな方が担当するので、その人の個性が出るところも楽しいのです。阿部さんの場合は真面目さが出ていて、必要最小限の解説をした後、曲を次々かけていくスタイルでした。ある程度ジャズ・ファンに知られているモブレーなどの場合はこういうシンプルなやり方で演奏を堪能させるのが良いと思いました。

モブレーはデビューからしっかりスタイルが出来上がっていて、最後までそれを崩さなかったところが良いところであり、また時代に取り残されることにもなったのでしょう。モブレーには堅物な職人気質を感じます。時代を追わないものの良さや味わいは分かる人には分かるという類のものでしょう。メディアに取り上げられやすい時代を作った人を聴くのはもちろん大事なのですが、メディアに取り上げられにくいその時代の方法の中で輝いた人も聴いておくほうが愉しみが広がります。

選曲のせいもあるのかもしれませんが、モブレーの即興演奏はオール80点みたいな感じを受けました。悪いものはないんだけれどとんでもなく良いものもないかな。それと言いたいことを言い切っている感じも受けましました。それが出来るということは上手いということでもあるのです。下手では言い切れませんからね、モブレーは決して下手ではなく上手いのです。こういうタイプは聴き飽きないし聴くほどに味が出てくるので、押さえておいて損はないと思います。

それにしても「いーぐる」のオーディオは音が良い。特にダグ・ワトキンスのベースが「グ~ン・グ~ン」(あとで後藤さんが言っていた)と気持ちよく鳴っていました。チェンバースも良いのですがあの音を聴くとワトキンスに惚れますね。後藤さんは「いーぐるの音はベースが出過ぎだ。」と言うのですが、私は今くらいが好みです。

P195 さて話は変わりますが昨日やっと見つけたヘンリー・スレッギル「トゥ・マッチ・シュガー・フォー・ア・ダイム」(1993年、Island Records/日本ファオノグラム)を紹介します。ヘンリー・スレッギルと言えば70年代に話題になったフリー・ジャズ・グループ「エアー」のリーダー格だった人です。

基本メンバーは、グループ=ベリー・ベリー・サーカス:ヘンリー・スレッギル(as)、マーク・テイラー(French horu)、ブランドン・ロス(el-g,ac-g)、Masujaa(el-g)、エドウィン・ロドリゲス(tuba)、マーカス・ロジャース(tuba)、ジーン・レイク(ds)です。それにゲストとしてバイオリンやculoやヴォーカリストが加わります。楽器編成を見ただけで拒絶反応を起こす方もいるのでは? ディスクユニオン御茶ノ水ジャズ館で見つけました。¥1,155。Amazonでは新品¥7,393なので買わなくて良かったです。

1曲目「リトル・ポケット・サイズ・デーモン」は、ツイン・チューバによるベース・ラインとドラムとツイン・ギターが作るファンク・リズムにのって、アルトやギターやフレンチ・ホルンがソロをとるなかなかエキサイティングで楽しい曲なのです。M-BASE:ブルックリン派の延長上にあるものだと思います。チューバによるベースはマーチング・バンドでは当たり前なのですが、ジャズの場合も意外と良いんですよ。アーサー・ブライスのグループでもやってましたね

2曲目「イン・タッチ」は、ユダヤ的な曲でヴォーカルが入る部分とファンク・リズムの部分が交互に出てきて、何とも不思議なマッチングを見せるおもしろい曲です。 4曲目「ベター・ラップド/ベター・ウンラップド」は、ファンク・リズムの上でヴァイオリンやギターがフリーなソロを取る部分とアフリカン・パーカションとヴォーカルの部分が交互に現れる不思議でおもしろい曲です。 6曲目「トライ・サム・アモニア」のスレッギルのソロはカリプソですよ。ロリンズやナベサダが頭をよぎります。

こんな感じで新しい感覚に溢れる楽しいアルバムです。スレッギルがかかわったフリー・ジャズ、ファンク、ユダヤ、アフリカ、カリプソなどの要素がここに統合されたのでしょう。決して頭でっかちにならず肉体的で躍動感があるのも良いところです。ヘンリー・スレッギル、やっぱり只者ではありません。15年前にはこういうジャズもちゃんと日本のレコード会社から出ていたんですね・・・。ライナー・ノーツを書いているのはこの手のジャズと言えばの青木和富さんです。後藤さん推薦盤だけのことはあり良いです。偏見を持たずに聴いてほしいです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「ピテカントロプスエレクトス」

今日は真空管300Bのアンプを改造するための部品を秋葉原へ買いに行き、ジャズ喫茶「いーぐる」の「ハンク・モブレイ特集」も聴いてきました。買いに行った部品はストックにない数個の抵抗なのですが、こっちでは売っていないのでしょうがなく秋葉原へ行きました。ディスクユニオンでは今レコード買取10%UP期間中なので、整理して不要になったレコードも売ってきました。

そしてCDや中古レコードも物色することになるわけですが、良い収穫がありました。先月ジャズ喫茶「ジニアス」へ行った時に聴いて、探して買わねば!と思ったチャールズ・ミンガスの「ピテカントロプス・エレクトス」が見つかっちゃいました。それからずっと探していたヘンリー・スレッギル「トゥー・マッチ・シュガー・フォー・ア・ダイム」(ジャズ喫茶「いーぐる」後藤さん推薦)もやっと見つけました。こっちの感想は後ほど報告します。

P194 あらためて「ピテカントロプス・エレクトス」を紹介します。レーベルは「ステレオ30」ではなく「アメリカ30」でした。録音は1970年パリ。メンバーは、チャールズ・ミンガス(b)、ボビー・ジョーンズ(ts)、ダニー・リッチモンド(ds)、ジャッキー・バイアード(p)、チャールズ・マクファーソン(as)、エディ・プレストン(tp)(ジャケット記載順)です。ディスクユニオン御茶ノ水ジャズ館で見つけました。コンディション「B」だったのですが、試聴したら盤擦れが多いだけでノイズはあまりなくO.K.でした。¥1,050じゃ文句はありません。

収録曲はA面は「ピテカントロプス・エレクトス」(16"35)1曲のみ。B面は「ペギーズ・ブルー・スカライト」(12"46)、「ラブ・イズ・ア・デインジャラス・ネセシティ」(4"30演奏の途中でカット)の2曲です。まず録音がとってもクリアで芯がしっかりとらえられておりますです。そんでもってミンガスのベースが強靭な音で入っています。これを聴くだけでもうジャズそのものです。ミンガスの下に集まってやるとどうしてこうもメンバー全員のプレーが熱くなるのだろう。良いです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「ディス・アイ・ディグ・オブ・ユー」

「ディス・アイ・ディグ・オブ・ユー」という曲ご存知ですか?ハンク・モブレーのアルバム「ソウル・ステーション」に収録されているモブレー作の曲です。モブレーはロリンズやコルトレーンのような時代を築いたサックス奏者ではないですが、ハード・バップというフォーマットの中で手堅くポジションを確立していたと思います。そんなモブレーの「ディス・アイ・ディグ・オブ・ユー」を若手サックス奏者がやったアルバムを紹介します。

P191 最初にモブレーの「ソウル・ステーション」(1960年rec. Blue Note)を紹介しておきます。メンバーは、ハンク・モブレー(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・ブレイキー(ds)です。ワンホーン・カルッテットなのでモブレーの淡々として繊細なプレーが満喫できます。ふわっと柔らかいサックスの音が良いのですが、ともするとモッサリしてキレがないと言われてしまうのが惜しいところです。ケリーの鍵盤上をコロコロころがる粒立ちの良いピアノや、ブレイキーの元気なドラムも魅力です。聴いておくべき定番アルバムですよね。

P192 さて若手のアルバムはこれ。リッキー・ウッダードの「カリフォルニア・クッキング!」(1991年rec. CANDID/Black Lion)です。メンバーは、リッキー・ウッダード(as,ts)、ドゥワイト・ディッカーソン(p)、トニー・デュマス(b)、ハロルド・メイソン(ds)です。これもワンホーン・カルテットです。これは「ジャズ選曲指南」に掲載されているアルバムです。私は中古CDをすぐに見つけて買いました。Amazonで購入できます。ちなみに、ライナーノーツを書いているのは後藤雅洋さんです。

ウッダードの音は”コクがあるのにキレがある”という感じのなかなか魅力的なもので、演奏は王道ハードバップです。1曲目はサックスとドラムだけで数フレーズ吹いてすぐにピアノとベースが入るのですが、ここを聴くだけでノリノリ感が湧いてきます。そのまま続くサックス・ソロがグングン押してきて気分はウキウキ、リズム隊もドライブ感をしっかりサポートしていてこれは快適ですぞ。

つづくスロー・バラードは浮つくような感じはなくじっくり吹いてなかなか堂々としたものです。そして「ディス・アイ・ディグ・オブ・ユー」、原曲を大事にしてオーソドックスにやっていますね。そしてここでもノリノリです。いや~快適快適のハードバップアルバムです。アルト・サックスも吹いていますが、こちらも太く厚くかつキレもある音で気持ち良いです。この手のやつだとエリック・アレキサンダーばかりが取り上げられますが、リッキー・ウッダードも負けていませんので、ヨロシク!

今度の土曜日4月12日に、ジャズ喫茶「いーぐる」http://www.02.246.ne.jp/~unamas/eagle.htmlで「ハンク・モブレイ特集」がありますよ。
行ってみようかな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

渋いピアノ・トリオ・アルバム

今日はあまり知られていないだろう渋いピアノ・トリオ・アルバムを2枚紹介します。1枚は後藤さんの著書「ジャズ・オブ・パラダイス」で、もう1枚はこれも後藤さんの著書「ジャズ・レーベル完全入門」で知って昨年になってやっと買ったアルバムです。

P189まずはホレス・パーランの「ブルー・パーラン」(1979年rec.Steeple Chase)です。メンバーは、ホレス・パーラン(p)、ウィルバー・リトル(b)、ダニー・リッチモンド(ds)です。これレコードをずっと探していたのですがなかなかみつからず、昨年レコード店「JARO」の例の通販リストの中にみつけ、ちょっと高かったのですが迷わず買ったものです。一応オリジナル盤です。さっきAmazonを検索したらCDもあって購入できますね。

これは極普通のピアノ・トリオなのですが何と言うか味わい深いのです。A面1曲目の「グッドバイ・ポーク・パイ・ハット」、淡々と弾いていくのですがとってもブルージー、さすがは「アス・スリー」のパーランです。途中だんだん盛り上がり重厚になっていくのですがしつこくなりすぎないところもグッドです。リトルの重厚で堅実なベースがリズムを支え、リッチモンドのパタパタ感のあるドラムが良いアクセントになっています。B面1曲目の「モンクス・ムード」も同じような感じです。

「サンスポッツ」と「ナイト・ミスト・ブルース」は、今時のピアノ・トリオ・ファンのツボに絶対はまると思うミディアム・テンポの哀愁美メロナンバーです。「サンスポッツ」はワルツなのもツボで、ワルツで小粋にスイングっていうあの寺島さんが好むパターンですよね。新人のピアニスト発掘も良いですが、ベテランのこういうピアノ・トリオを秘かに聴くというのもこれまたオツなものです。

P190次はビリー・テイラーの「ウォーミング・アップ」(1960年rec. RIVERSIDE)です。メンバーは、ビリー・テイラー(p)、ヘンリー・グライムス(b)、レイ・モスカ(ds)です。これは買うのが後回しになっていたのですが、日本盤中古レコードを安く買って聴いたら良かったので、「JARO」の3月の通販でオリジナル盤を買っちゃいました。人気盤ではないので普通コンディションのモノラル盤が4桁で買えました。これ意外と音が良いのも気に入ったところです。

これはA面1曲目からもうスインギーで聴いていてとてもウキウキ・ワクワクしてしまうのです。ブギウギ系というのでしょうか?ちょっと古いタイプの弾き方なんですがイイんですよこのスイング感。2曲目はスローでこれがまたスインギー、普通のもうとにかく聴いていて気持ちの良いメロディーです。3曲目はゴスペル調のご機嫌なスイング・ナンバーで快調に行きますが、ホレス・シルバーのようにコテコテにならないところがまた良い!4曲目はしっとりスローなナンバーでスインギー・・・と、スイング!スイング!で約2分半の曲がもう次から次へと続き、あっという間にA面が終わってしまいます。

B面も同じように全編スインギーです。そして全12曲ビリー・テイラー作です。すばらしい!このアルバムは聴いておいて損はないと思いますよ。誰が聴いても素直に楽しめるんじゃないかなあ~。こういうのを知っているってなかなかツウな感じなのでは?

こういうのを聴くとジャズ喫茶のオヤジ恐るべしということになってしまうのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ヨーロピアン・ギター

今日はヨーロピアン・ギターの2枚を紹介します。紹介したいアルバムは多々あれど、何か切り口が必要だし、短いなりに紹介文を書くのも大変なのです。

P187まずはフェレンツ・シュネートベルガーの「ノマド」(2005年rec. enya)です。メンバーはフェレンツ・シュネートベルガー(ac-g)、アリルド・アンデルセン(b,electronics)、パオロ・ヴィナッチア(ds,electronics)です。アコースティック・ギター・トリオで、エレクトロニクスはほんの少しサウンド・エフェクトとして使う曲があるだけです。Amazonで購入できます。

1曲目は哀愁漂うメロディーのスロー・ナンバー。アコースティック・ギターの柔らかい音とアンデルセンの深みのあるベース音が心を落着かせてくれます。シュネートベルガーはジプシー系譜のギターを弾き、消して浮ついた調子にならないで一音一音噛み締めるように丁寧に弾いて行きます。そこにアンデルセンのベースが深くネットリからみつき、ドラムスが小気味良くアクセントをつけるという按配です。

曲はシュネートベルガーとアンデルセンが書いていますが、同じ方向性で書いているので統一感があります。全編風景が浮かんでくるような哀愁漂う佳曲です。サウンドはコンテンポラリー系でヒーリング的な心地良さがあります。しかし安易なヒーリング・ミュージックと言うのではなく、芸術性や質の高さを持った作品であることが伝わってきます。かと言って極度な繊細さとか難解とか言う感じではありません。また録音の良さがより音楽性を際立たせています。

P188_2次はヤン・エリック・コングスハウクの「ディ・アザー・ワールド」(1998年rec. ACT MUSIC)です。メンバーはヤン・エリック・コングスハウク(g)、スベイン・オラフ・ヘルスタッド(p)、ハラルド・ヨハンセン(b)、パー・オッドバー・ヨハンセン(ds)です。ギター・カルテットですね。このアルバムは雑誌「ジャズ・マスター・マガジンVOL.3」の記事「直感で選ぶ『ジャケ買い』コレクション」の中で紹介されていて、それに惹かれて購入したものです。Amazonで購入できます。

ヤン・エリック・コングスハウクはECMレーベルの録音エンジニアとして有名です。ECMサウンドを作っている人ですね。この人がこんなにギターが上手だとは知りませんでした。録音エンジニアは当然本人がやっていて、これまた当然オスローのレインボー・スタジオで録音されています。録音は特にハイファイ感を強調するようなところは無く、極素直に良く録られています。良識を感じさせるものですね。

収録曲はスタンダード4曲とコングスハウク作6曲です。コングスハウクの作る曲がまたどれも佳曲なのです。この人はいろいろな才能を持っているんですね。演奏のほうは特に上手いとか凄いとか言うのではなく、肩の力が抜けた寛ぎに溢れたものです。でもじっくり聴けばこれはこれでなかなか味わいがあるものです。ちょっとわかりずらいかもしれませんが、ジャケットのバックにはうすく本人の笑顔のポートレートが写っているんです。この雰囲気がアルバムのサウンドを現しているかのようです。それにこのワイン色好きだな~。

尖がったジャズや怖いジャズも好きですがそればかりでは疲れるので、こう言ったものも挟みながら聴くというのが、私のジャズ聴きのバランス感覚です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

甲州軍団出陣前!

今日は「第38回信玄公祭り」のメインイベント「甲州軍団出陣」の日です。舞鶴城の桜を見に行こうと思っていたら、舞鶴城公園では出陣式典をやるんですね。式典前に行ったのですが既にたくさんの人がいました。実は信玄公祭りを見るのは30数年ぶりなんです。だから最近はどのように行われているのか知りませんでした。

P179_2舞鶴城の入り口へ続く道の両側には屋台が立ち並びお祭り気分が盛り上がります。桜の花もまだ充分残っていますよ。お天気も良いし今年はかなりのお祭り日和ですよね。


P180舞鶴城公演の入り口、お堀の橋の上からです。只今2時半ですね。舞鶴城は石垣だけで天守閣はありません。甲府の街の活性化のために天守閣を作ろうという活動もしているようですが、予算がね・・・。青空、石垣、桜、なかなかきれいです。時計の後ろは甲府駅北口YBSビル横の高層マンションです。
P181写真左上の塔は謝恩碑です。明治時代に発生した大規模な水害の復興にと明治天皇が皇室の山林を県に供与し、その記念に建てられたそうな(ネット検索で調べ)。う~ん。桜がきれいですね。


P182稲荷門前から遠くを望むと、富士山がきれいに見えました。下の水色の長椅子は出陣式典会場の指定席です。



P183青空に浮かぶ白い煙は出陣式典の開始が近いことを知らせる花火の煙です。あの「パン、パン、パン」と鳴る花火ですよ。謝恩碑と手前の桜が青空をバックに淡いコントラストで良い感じです。






P184こちらが出陣式典の会場です。舞台の上には「信玄公」と「武田二十四将」の椅子が並んでいますね。「武田二十四将」の中の一人が去年NHK大河ドラマ「風林火山」の主役だった「山本勘助」です。手前の水色の長椅子が指定席なんだそうです。すでにお客さんが座っています。ここでも青空、桜、石垣がきれいですね。
P185会場へ向かう「甲州軍団」の足軽の皆さんです。NECの社員さんご苦労様です。鎧と鉢巻・兜がなかなかカッコイイですね。私も一度は鎧・兜を着てみたいなあ。


P186会場へ向かう「三条夫人」(武田信玄の正室)御一行様です。華やかですね~。三条夫人は一般公募らしいです。誰が選考しているのでしょう?



ところで「武田信玄公」と「山本勘助」は毎年芸能人が扮するのですが、今年は「信玄公」が懐かしい「トミーとマツ」(若い人は知らないでしょうね)の「国広富之」さん。「勘助」が筋肉番付長老の「野村将希」さんです。それから「湖衣姫(由布姫)」は前夜祭のコンテストで選ばれます。上記三人の写真はありません。会場へ無防備に歩いて向かったりしないでしょうから簡単に写真もとれないでしょう?

ということで出陣式典を見ずに帰ってきました。昔は「甲州軍団出陣」をテレビで生中継していたのですが今はしないんですね。録画して後日放送するのかな?

前の「いーぐる」ネタ、ちゃんと読んでくれました? そう、読んでない・・・、あはは。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

先週のジャズ喫茶「いーぐる」の連続講演

そろそろ先週行ったジャズ喫茶「いーぐる」の連続講演、益子さんによる「21世紀ジャズへのいくつかの補助線~第4回・即興について」について書いておきましょう。このシリーズ、私は第1回から全て参加したのですが、いよいよ一区切りするということで少々残念です。ただ講演者の益子さんは今後も不定期にこの「21世紀ジャズへのいくつかの補助線」シリーズは続けていく予定とのことです。

私は筆記具を忘れてしまったためメモがとれず、記憶を辿りながら書いているので思い違いがあるかもしれませんがご容赦下願います。また進行順に従ってだらだら書くこともご容赦願います。こちらは「いーぐる」のホームページです。http://www.02.246.ne.jp/~unamas/eagle.html 「diary」を参照願います。
”興味がない方は以下無視して下さいな。”

今回はよりわかってもらうために口頭による説明を多くしていました。まずはウェインの最近の演奏がなぜ面白くないのかを検証するため、マイルスのロスト・クインテットの中のウェインの演奏を聴くために、アルバム「ライブ・アット・フィルモア・イースト」から「ディレクションズ」。熱い!熱すぎる演奏です。ウェインをはじめとしてメンバー全員が全力で自己を表現しています。コレ聴いたことがなかったけど良いです。早速買わなきゃ!ユニオンに中古があるはずです。

次はその面白くないウェインの演奏。アルバム「フットプリンツ・ライブ」から「マスクァレロ」。こちらはウェインが何かの雰囲気をつくろうとして、ソロをとるよりメンバーの出方を伺っているようで、積極的に自己表現することを第一の目的としていないようだとのことです。これが「即興性」の後退につながっているのではないか? この背景には個人と周囲の人との関係性が過去と異なってきていることがあるのではないかということです。この辺りの哲学的な考察は後藤さんが強く興味を抱いているようなのでお任せしましょう。

その1例としてティム・バーンのアルバム「サイエンス・フリクション」から「Huevos」。こちらはティム・バーンがリーダーとしてアルト・サックスでソロをとりながらメンバーの演奏を導いていくところがあり、これが積極的なソロを抑えているようだということです。確かにそのように聴こえました。これはジャズを知らない若い人に聴かせたら「カッコイイ」という反応があったとか、なまじ旧来のジャズに慣れた人にとっては抵抗感が強いみたいですが・・・、ティム・バーンと聞いて「不協和音」とか思い浮かべたあなたです。

そのライブでの演奏ということで、アルバム「ザ・サブライン・アンド.サイエンス・フリクション・ライブ」から「Van Gundy's Retreat」。私はサイエンス・フリクション(グループ名でもある)に関心がなかったのですが、これらを聴いてアルバムを購入しようと思っています。

次はグループYeah Noのアルバム「スウェル・ヘンリー」から2曲「シー・ハズ・フォー・ソーンズ」「Camper Giarno」。こちらはフロントの2人クォン・ブーのトランペットとクリス・スピードのテナーが楽器は違うのに音色が似ていて、一体化して共同で演奏を進めていくところに注目です。こういうやり方も「即興性」の後退のように聴こえます。

過去にも似たような演奏があったということで思いつくのが、マイルスのアルバム「ネフェルティティ」からタイトル曲。過去に評論家がこの演奏にはアドリブが全くないと言っていたものです。しかし良く聴くとマイルスとウェインが微妙にずらしていたりして、これは考えようによってはアドリブではないか?またリズムのハービー、ロン、トニーは物凄く奔放にやっているのもアドリブだろうということです。

アドリブと言えば、コード進行に基づくものを突き詰めたコード細分化によるものから、モードによるものへと符号簡略化が進むのですが、自由度が大きくなるにつれて才能が全てということになり、皆が皆それでやっていくのはつらいものです。さらに全て自由にするとフリーということになるのですが、それを突き詰めると不毛の荒野になってしまいます。そこで「触覚的なサウンド・テクスチャー」や「リズムの複雑化」が現代の流行なのではないかということです。ここに「フロント・ラインとリズム・セクションの逆転現象」が現れます。

その例として、グループAlasNoAxisのアルバム「AlasNoAxis」から2曲「オプティカル」「アンバチャーム」。益子さん一押しのグループですね。テオ・ブレックマンベン・モンダーのアルバム「アット・ナイト」から「カーボン」。テオ・ブレックマンは独特のパフォーマンスで声を出すようで要注目とのことです。私も別のアルバムでこの2人を聴いて気になっています。もう1枚ビル・マッケンリー「ローズ」から2曲「ザ・アビス・オープンズ・アップ」「ザ・シティ。ドラムがポール・モチアン、この人は今やこの手のシーンの最重要人物ですね。

最後に一押しサックス奏者トニー・マラビーサックス・トリオによる3曲です。グループ:トーン・コレクター同名アルバムから「マッチボックス」。 まだ日本未発売の自己のアルバム「タマリンド」から「フローティング・ヘッド」。どちらもフリーの演奏で、触覚的なサウンド「グリッチ」に注目です。 グループ:Open lose「ストレンジ」から「ソニック・ライツ」。これはもう少しメロディアスな演奏です。トニー・マラビーは強力なインプロバイザーです。益子さんたちの超一押しですね。

だらだらと書きましたが、ここまで読んでいただいた方どうもありがとうございました。

以上はテキストだけでなく音を聴かないとわからないと思います。ここでかかったアルバムをいくつかお持ちでしたらニュアンスはわかるかもしれませんね。
こういう新しい感覚によるジャズを聴こうとするコミュニティーはジャズ喫茶「いーぐる」しかないでしょう。後藤さんの「変容する感覚」に対する積極的な働きかけは凄いと思います。その場に参加することは私にとっても刺激的な体験なのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

極上コンテンポラリージャズ

今日は極上コンテンポラリージャズを紹介します。

P177_2ニコラ・フォルメルの「フルイド」(2006年、cristal records)。メンバーは、ニコラ・フォルメル(tp,p:1曲のみ)、ピエール・アラン・ガルシュ(p)、ジェロム・レガード(b)、トマス・グリモーンプレス(ds)、ステファン・ウシャール(ds:4曲)です。トランペットのワンホーン・カルテットです。ニコラ・フォルメルはフランスで活躍しているトランペッターで「パリ・ジャズ・ビッグ・バンド」の中心メンバーなんだそうです。このアルバムは彼の2作目です。私これもユニオンのアウトレット購入です。

このアルバムはミドル~スロー・テンポの曲で構成された極上コンテンポラリージャズというところです。ハード・バップではありませんよ。全曲ニコラ・フォルメルが作曲していますが良い曲ばかりです。トランペットの音色はファットでまろやかな中音と鋭く力強い高音が特徴です。音の飛翔もスムーズ、速いフレーズもきっちりこなすテクニシャンで、余裕を残して演奏している感じです。決して手抜きというわけではなく、自分のコントロールの下で演奏しようという誠実なものだと思います。ミュートを使ったバラード演奏なんかも淡々としていますが味わいがあります。変拍子の複雑なリズムを使った曲もありますがいたってスマートに演奏しています。

P178サイドメンでは、ピエール・アラン・ガルシュが非常にメロディアスかつセンスの良い演奏をしています。少しエレピも弾いていますね。ニコラ・フォルメルとの方向性はピッタリで、2人の相性はかなり良いと思います。ピエール・アラン・ガルシュと言えば寺島さん推薦の「セルジュ・ゲーンズブールの音楽を探求する」(ジャケットとライナーのタイトルが異なっている)ですのでここにジャケットを載せておきます。ピアノ・トリオ・ファンは必聴でしょう。

ステファン・ウシャールが4曲でドラムを叩いていますが、軽快でしなやかな8ビートがとても気持ち良いですね。こういうビートを叩かせるとこの人はうまいです。もう一人のドラマー、トマス・グリモーンプレスは8曲叩いていますが、ブラシを使っているほかスティックを使った場合はタイトなリズムになります。

このアルバムはニューヨーク系のアクや毒を好む方には物足りないでしょう。でもたまにはウイスキー片手にこういう極上コンテンポラリージャズを聴きながら寛ぐのも良いと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

エルダー弾きまくり!

エルダー・ジャンギロフはキルギス共和国出身の「天才少年ピアニスト」とか言って衝撃のデビューをはたしたわけですが、昨年のアルバム「リ・イマジネーション」(2006年rec. SONY BMG)はそれほど話題にはなっていないと思います。今回から「ジャンギロフ」が覚えにくいので、名前を「エルダー」だけにしています。私は前から気になっていたので例によってアウトレット(輸入盤)で安く購入しました。

P175話題にならないのはこの手のやつが今うけないからでしょう。まず前2作のように誰でも知っている人(マイケル・ブレッカーとかロイ・ハーグローブなど)がメンバーに入っていません。替わりに曲によってはD.J.ロジックやマイク・モレノなんて曲者が入っていたり、ジェームス・ジナスがエレクトリック・ベースを弾いていたりします。エルダーがキーボードまで弾いていて、全11曲中9曲がエルダー作でその曲想はフージョン・ライクなものです。アコースティック・ピアノ・トリオしかうけないこのご時勢じゃあね~。

自作曲がなかなか面白いんですよ。パット・メセニーにも通じるアメリカン・カントリー風なもの(荒野を走る列車やカウボーイが馬に乗って疾走する感じとでも言いましょうか?この人実はアメリカ生まれなんじゃないの?)があったり、D.J.ロジックが入っている曲なんかはクラブ受けしそうですし、めちゃ甘なラブソング(ピアノ・ソロ)があったりといろいろです。各曲のイメージについて本人のコメントが書いてあるのですが、これが今時の若者の感性なのでしょう。

このアルバム1曲目からとにかく弾きまくりです。さすが天才ピアニスト、脅威のテクニックで指動きまくりです。左手のコードも重厚でガンガン弾いているところから、私はマッコイ・タイナーのあの「フライ・ウィズ・ザ・ウインド」が思い浮かびました。別に曲が似ているとか弾き方が似ているとかいうのではなく、畳み掛けてくるピアノの音のイメージが似ているということです。

そんな中で「アウト・オブ・ノーホエア」はアコースティック・ピアノ・トリオでしっとりと弾くわけですが、これがまた情感たっぷりの味わい深いものになっていて、決してテクニックだけのピアニストではないことがわかります。また尊敬するオスカー・ピーターソンに捧げたという「プレイス・セント・ヘンリー」ではブギウギ・ピアノ的奏法でジャズ・ピアノの伝統へのつながりを見せていたりもします。

このアルバムには「エルダー」の瑞々しい感性が溢れています。まあやりたいことをたくさん盛り込んじゃっていますが、若さゆえということでおおめに見てあげましょう。斜に構えるようなところがなく自由に伸び伸びやっていることに私は好感が持てます。上原ひろみとかと同じ臭いを感じのですがいかかでしょう?

P176_2「フライ・ウィズ・ザ・ウインド」(1976年rec. Milestone)についてもちょっと紹介します。メンバーは、マッコイ・タイナー(p)、ロン・カーター(b)、ビリー・コブハム(ds)というピアノ・トリオにヒューバート・ローズ(fl)、ストリングス・オーケストラです。

とにかくA面1曲目のタイトル曲が強烈です。マッコイが弾きまくりで手数が物凄く多いのです。コブハムのヘビー級マシンガン・ドラム+ストリングス・オーケストラに一歩も引けを取らないとは・・・。A面2曲目のサンバのリズムに乗ったマッコイの演奏も1曲目と同じように弾きまくりです。マッコイのソロではこれぞマッコイ節炸裂です。この2曲で、ヒューバート・ローズのフルートが周りに負けじとフルートらしからぬ力強さを見せているところもなかなか良いです。A面だけでお腹いっぱい。もう結構・・・。
今日はこんなところでおしまい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年3月 | トップページ | 2008年5月 »