早坂紗知さんがお気に入り
最近女性のサックス奏者が増えていますよね。トランペットまでいますよね。まあこれは矢野沙織の成功があってのことだろうと思います。矢野沙織を最初に見たのは確かNHKの関東ローカルのニュース番組ですね。まだプロデビューする前の時です。サックスを吹く高校生がいて自分でライブ・ハウスとかに出演交渉して出ているとかいう内容だったと思います。その時の演奏はヘタクソでアドリブもままならない感じでした。その時はこんな娘もいるんだね~とそれだけでしたが印象には残っていました。
それからしばらくするとCDデビューしてその後はみるみる有名になりましたね。気にはなりましたがCDは買いませんでした。どうせアイドルなんだろうとたかをくくっていたんですね。でも一度は見てみたいということで、2年前に吉祥寺のジャズ喫茶「メグ」でライブを観ました。矢野さんはシャイなんですね。曲紹介もなんかもじもじしている感じでした。さて演奏なんですが、なかなか上手でアドリブもそつなくこなしていました。スロー・バラードなんかもしっかりしていました。ひたむきな演奏姿勢には好感が持てましたね。それでCDは買ったのかって?残念ながら買っていません。何と言うのだろう私を惹きつけるものが足りないと言うのか・・・。
前置きはこれくらいにして今日は早坂紗知のお話です。早坂紗知は日本の女性サックス奏者の先駆けですね。早坂紗知との出会いは、Webサイト「JAZZ TOKYO」の新譜紹介をみて「ビート・ビート・ジャズ・ビート」を買ったことです。これがなかなか良いんですよ。その頃ライブもあったので吉祥寺のライブ・ハウス「サムタイム」へ観に行きました。2年前矢野さんを見たのと同じ頃です。いや~すごく良かったです。早坂さんの良さはあっけらかんとしたオープンな演奏につきますね。変にカッコつけたり斜に構えるようなところがなくとにかくそのまんま、女性の強さと優しさも感じられました。
ハーモニーがどうのリズムののりがどうのとかそんなことではなく演奏姿勢が前述のような良さを出しているのだと思います。そうそうアルトとソプラノ・サックスの2本同時吹きなんかもやるところがこの人らしさです。その時の衣装は黒いミニのワンピースに赤いハイヒールだったと思いますが色気というよりカッコイイんですよ、これが。御本人は演奏どおりのさばさば姉御っていう感じでした。その時のピアニストは黒田京子さんでしたが、彼女も良かったです。
さて「ビート・ビート・ジャズ・ビート」(2005年、ンバギ・レコード)ですが、メンバーは、早坂紗知:as,ss、黒田京子:p、永田利樹:b,vo、フェローン・アクラフ:ds、Wabane Ndlaye Rosa:sabar,talking drumです。セロニアス・モンクの曲を2曲、オーネット・コールマンの曲を3曲やっていますが、それぞれの曲の特徴を生かしつつ、早坂流のオープンな感覚に溢れた力強いナンバーになっています。バーデン・パウエル作「カイ・デント」とセネガル民謡「ボヤ・バルマ」などはWabane Ndlaye Rosaのパーカッションが入って、ネイティブな力強さに溢れたナンバーになっています。早坂のサックスと黒田のピアノがとにかく楽しそうにプレーしているのが良いです。永田のベース、アクラフのドラムも一丸となって盛り上げます。ラスト「グッド・バイ」は早坂と黒田のデュオですが、ダイナミックにして深いです。女性のパワーを侮るなかれ。このアルバムは全体を通してオープンで力強さに溢れた楽しいアルバムです。N.Y.系のどちらかというとネクラ・サウンドとは対極にあるアルバムで、時々無性に聴きたくなります。これはマイナー・レーベルのCDなので入手は難しいかもしれないところが惜しいところです。
次は「サンガ」(2005年rec. Ohari Records)です。メンバーは、早坂紗知:as,ss、永田利樹:b、フェローン・アクラフ:dsのサックス・ワン・ホーン・トリオです。大阪・和泉市「宝国寺」でのライブ録音です。前から買おう買おうと思っていてやっと最近買いました。このアルバム、前述した早坂さんの魅力がそのまま収まっています。フリー・インプロビゼーションの曲もありますが、メロディーもビートもありますからそれほど手強くはないです。録音もほとんど加工なしでライブの空気がそのまま入っています。ライナー・ノーツに「赤裸々な音。」と書いてありますが、まさにそのとおりだと思います。ここには等身大そのままの早坂紗知がいるのです。これはAmazonで入手できます。
私は早坂紗知さんに是非「桜座」か「アローン」に来ていただきたいのですがいかがでしょう?東京での平日のライブなんか見に行けませんからね。
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