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フルート、バスクラ・リーダーの2枚

最近新譜を買う気分にならないのです。スイングジャーナル誌の最初のほうを飾る新譜も魅力がないのです。だってピアノ・トリオか、ヴィーナス・レーベル的保守層狙いか、女性リーダーものしかないんですよ。それらが悪いと言っているわけではありません。私にとっては魅力に乏しいだけです。だって90年代より前の必聴盤からレア盤まで1000枚以上持っているとそれで事足りてしまうのですから。今更同じようなコンセプトで作ったものを聴いてもね・・・、よほど特別な魅力があるなら聴こうかなとも思いますが、3000円近く出す価値はあるのだろうか?と思うわけです。

私の好みも世間一般からすればマイナーなようで、結構アウトレットになっていたりします。そこでアウトレットをよくチェックするのですが、安いのを良いことについつい買ってしまいます。さて今日はそんな中から、ジャズとしては珍しい楽器のフルートとバス・クラリネット奏者がリーダーの2枚です。

P132 まずはクシシュトフ・ポペックの「ユー・アー・イン・マイ・ハート」(2006年rec. POWER BROS RECORDS)です。メンバーは、クシシュトフ・ポペック:alto-fl、ピョートル・ヴォイタシック:flh、ランディー・ポーター:p、デビッド・フリーゼン:b、ジョー・ラバーべラ:dsです。なかなかおもしろいメンバーですよね。ポーランドのポペックとヴォイタシックという2人のフロントに、寺島氏推薦のピアニスト、ランディー・ポーターとベテランのフリーゼン、ラバーバラというアメリカのリズム隊の組合せです。

全体的に落着いて暖かい雰囲気のバップ・アルバムです。トム・ハレル「ヴィジョンズ・オブ・ガウディ」、ショーター「ヴァーゴ」、ランディ・ブレッカー「ユー・アー・イン・マイ・ハート」、ケニー・バロン「ヴォヤッジ」などの渋いオリジナルをやっていて選曲のセンスはなかなかです。ポペックのフルートは奇を衒わず趣味の良いもので、ハービー・マンを洗練させた感じかな。ソフトですが芯のしっかりしたプレーです。テーマ部ではヴォイタシックのフリューゲル・ホーンとフルートがまろやかなハーモニーを奏でていて、いい気持ちになります。

ヴォイタシックはヨーロッパ系のトランペット奏者に共通する感じですね。技術もしっかりしているしパワーもあります。ここではパワーで押し切るようなプレーはせずにじっくりと吹いて、フルートとの雰囲気をこわさないようにしています。ランディー・ポーターのピアノがいいですね。スインギーで軽快でメロディアスで、寺島氏推薦らしいピアニストです。フリーゼンもバッキングにソロにといいプレーをしています。最後の曲はポペック唯一のオリジナルでフリーゼンのベースとのデュオですが、これがイイ感じになっています。ちなみに前作「ハウス・オブ・ジェイド」はガッツプロダクションが輸入して日本語解説を付けて出していました。

P133 次はフランスの重鎮ミッシェル・ポルタルの「バードウォッチャー」(2006年rec. UNIVERSAL MUSIC FRANCE/EmArcy)です。メンバーは。ミッシェル・ポルタル:bs-cl,cl,as,ss、トニー・マラビー:ts、トニー・ハイマス:p,key、アイアート・モレイラ:per、ジェフ・リー・ジョンソン:el-g、他です。ポルタルのオリジナル曲をやる6、7人編成と、ポルタル、ジェフ・リー・ジョンソンらで共作曲をやるクインテットの2つの編成の曲が交互に収録されています。2部に分かれていてます。曲調としてはダーク系やアブストラクト系なんでしょうが、フランス的センスというのか?堅苦しい感じではなくどこかオープンで土着的なところがあります。Amazonで入手可です。

ポルタルはほとんどの曲をバス・クラリネットで吹きまくっています。いや~尖がってるよなあ~いい年なのにカッコイイなあ。それから「いーぐる」界隈やN.Y.サウンドを追いかけている方が注目するトニー・マラビーが、ゴリゴリ吹きまくっているのがいいですね。自身のアルバムよりこちらの方が肩の力が抜けて実力が出ている感じがします。マラビーは意外と柔軟なセンスを持っていることが分かりました。ポルタルのバスクラとの2トップはなかなか相性がいいですね。意外です。マラビーがいる編成のほうでは、アイアート・モレイラのアフリカン・パーカッションがリズムを力強く躍動的にしていますね。

もう一つの編成では、ジェフ・リー・ジョンソンのギターが不穏な空気を出して、ポルタルの不穏なバスクラとわたりあっています。ピアノ、キーボードのトニー・ハイマスは両編成に入っているのですが、なかなか良いサポートをしていて要所をきっちり押さえてプレーしています。ちょっと注目していきたいピアニストです。フランソワ・ムタンがアコースティック・ベースをブリブリ弾いている曲あり、サウンド・トラックのような印象的な曲ありと聴き所満載です。皆さんに聴いてもらいたいです。

以上2枚、決して内容が悪いわけではありません。メディアに載らないためになかなか手に取ってもらえずアウトレットになってしまうんですね。わかっちゃいるけど・・・。

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