ちょっと変わった音質チェック盤
6、7年前、「無線と実験」誌に広告が出ていた「モトスポット」という中古オーディオ店が気になり、何度か買に行ったことがありました。
「モトスポット」は練馬区の南西端の青梅街道沿いにあります。このお店、中古オーディオと一緒に古物も売っています。中古オーディオも大手店ではなかなか扱わないような60、70年代の国産品、真空管アンプ、カートリッジ、ラジオなどを売っています。狭い店内にそういったものが積み上げられていて、よく探せば凄い掘り出し物が出てきそうな、古物市的な雰囲気が好きな人にはたまらないお店だと思います。
私は古いスピーカー(ダイナコ:D-25mkⅡ、コーラル:H-1など)と「無線と実験」の古本を何冊か買いました。ここで買ったものは結局手放してしまい、今手元にはありません。ここで買うときに試聴をするわけですが、デモに使う音源がちょっと変わっていて、それがタイトルの「ちょっと変わった音質チェック盤」となるわけです。
まずロン・カーターの「ピッコロ」(1977年、Milestone/ビクター、日本盤)。メンバーは、ロン・カーター:ピッコロ・ベース、ケニー・バロン:ピアノ、バスター・ウィリアムス:ベース、ベン・ライリー:ドラムスです。ロンは鈴木勲発案の小型版ベース:ピッコロ・ベースを弾いています。ピアノ・トリオをバックにロンがピッコロ・ベースでソロをとるというものです。これ2枚組みで演奏はあまりおもしろくありませんのでご了承下さい。
「モトスポット」では、お客さんが曲をCD-Rにコピーしたものを使っていて、店主に「この曲は誰の何か」を尋ねたのですが「わからない」とのことで、後日探すはめになってしまいました。弾き方からロン・カーターだけは分かったので、ロンのリーダー・アルバムをいくつか買ってやっと見つけました。
さてどこを試聴に使うかというと、「Saguaro」(発音がわからない)の冒頭1分くらいだけ、ロンのピッコロ・ベースの図太さとシンバルのジャーンだけなんです。「モトスポット」のメインスピーカーのアルテック:A7+複数ツイーターで聴くとなんとも迫力のある音がします。店主が言います「デジタル録音よりアナログ録音の方が良い音だ」と、「こういう音はデジタル録音では出ないんだ」と、上下には伸びてはいませんが確かに中音域を中心とした厚い音なんです。ちなみに私のオーディオでは試聴音量も小さいのであんな音出せません。
もう1枚は鈴木勲の「ブルー・シティー」(1974年、スリー・ブラインド・マイス)。メンバーは、鈴木勲:チェロ、ベース、菅野邦彦:ピアノ、渡辺香津美:ギター、井野信義:ベース、小原哲次郎:ドラムスです。こちらはメンバーも良いし演奏も楽しいです。若き日の渡辺香津美のブルージーなギターは最高です。菅野邦彦の繊細で美しいピアノも良いです。私は「45丁目(8番街)」がお気に入りです。
これも「モトスポット」店主の推薦音源です。知る人ぞ知るスリー・ブラインド・マイスのオンマイク・ハイファイ録音です。ハイファイと言っても今時の薄い音ではなく、しっかり芯のある音です。シンバルのキンキン感なんか最高です。名レコーディング・エンジニア神成芳彦氏と日本の誇るカッティング・エンジニア小鉄徹氏の最強コンビによる録音ですから悪いはずがありません。私はこの音に惚れて、スリー・ブラインド・マイスのレコードは30枚弱持っています。70年代日本のジャズも悪くないですよ。
というわけでベーシストの2枚が私の音質チェック盤に加わりました。
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